【映画 カラオケ行こ!】関係性厨だよ〜!!※ネタバレあり

情報解禁からずっと楽しみ半分怖さ半分だった映画「カラオケ行こ!」を公開翌日の令和6年1月13日(土)に見てきました。

和山先生の作品には「女の園の星」から入って、カラオケ行この映画情報が解禁されたときには単行本化されている作品はすべて読んでいました。(特にカラオケ行こは読後すぐ友達に進めてしまうほど癖にきました。)

結論:見てよかった!泣

情報解禁時「和山先生の作品って漫画だからこその温度感があって、映像になるとその良さが失われるのでは?」と不安に思っていた。(これは実写じゃなくアニメ化とかでも思ってたと思う)

けど野木さんが脚本書いてるのか~~~くう~~原作ファンとしてではなくドラマ好きとして普通に見たい~~~*1し、ヤクザの綾野剛は見たいかも~~~と葛藤してたら予告映像がでました。

映画『カラオケ行こ!』本予告(90秒)【2024年1月12日(金)公開】 - YouTube*2

・・・やっぱり綾野剛を見たい!!とほぼ煩悩に負ける形で見に行きました。(恥の多い人生)

だから設定とか歌とか演出とか諸々原作ファンとして不安に思ってた部分は自分的には何も解消されないまま(まあ本編見るまでどう思うかはわからないし)、心臓バクバクで見に行きました。

感じたことはいっぱいあるのですが、大きく以下の3つのカテゴリーに分けて記録に残してみます。

※このブログには映画と原作と単行本「ファミレス行こ。上」のネタバレがめちゃくちゃあります。

 

1.ただの中学生

聡実くんが自身のお財布と相談して買うに踏み切れなかったビデオデッキをポンと買い与えてしまう狂児について。

年末に涎を垂らしながら読んだファミレス行こ。(以下、ファ。)を思い出していました。ファ。では狂児の入れ墨を消すためにファミレスでバイトをしてコツコツお金を貯める聡実くんが描かれているのですが、そんな聡実くんに240万円する腕時計をポンとあげてしまう狂児が登場します。(聡実くんからしたらそら腹立つよなあ!!!)

デッキが壊れているから巻き戻せないビデオは声変わりが完了したらもとには戻らない声のことを示しているのかな、、と思っていたら狂児はもとに戻すアイテムを与えられてしまって、なんか、そこが、聡実くんが簡単に手に入れられないものをお前は、、ぐぬぬな気持ちになってしまいました。

インタビューで綾野氏は"ふたりはあくまでフラットな関係"*3とお話されていました。でも、狂児目線では対等でも、聡実くんからしたら明確な立場の違いを感じて歯がゆい気持ちになることがいっぱいあったと思うんですよ。(和子の話を真に受けてたことを笑われたり、「まだ中学生やもんな」と言われたり)そこがこの二人の好きなところです。(突然)

狂児は聡実くんのことがかわいくて仕方ないし、聡実くんはそんな狂児の態度が悔しいし。でも狂児は聡実くんのことをカラオケの先生として慕うような態度をとるし。*4

狂児が買い与えたデッキのせいで、映画見る部のビデオは全部元通りになる=映画を見たという物的な証拠がなくなる→「夢やったんちゃう?」(映画見る部のカーテンが空いて暗かった部屋が明るくなるのは夢から覚めたというか、狂児との時間の終わりを示唆しているようでした。)狂児が与えたアイテムが結果的に聡実くんとの線引きを強めているように見えて、いかにも狂児って感じだなと思ってしまいました。狂児は聡実くんをかわいがる反面、聡実くんが少し心を許すと「こちら側にきみは来るなよ」という線引きをする大人だから。

狂児が聡実くんをちゃんと中学生扱いして線引きするところが、、、狂児の愛というか矢印としてとても好きなんだよね〜。、それは原作でもたま〜に匂わされる時があって、この好きは映画だからそう感じたというより、原作を読んでてそもそも好きだった愛の感じが映画でも色濃く残ってて嬉し〜やっぱ狂児ってそうよな〜好き〜〜ってなんだ感じかな。

原作の狂児を壊さず、映画の「綾野剛の演じる成田狂児」がそこにいて、「実写化」というより「映画化」を目指した という姿勢がめ〜っちゃ伝わってきた〜!綾野剛含め製作陣の皆さんハオい。同じチームでたくさん作品を作ってください。もっと見たいです!!!

2.本作における愛の定義

「愛するって何?」

原作での狂児と聡実くんは、明らかに”そういう感情”を互いに持ちつつも明言はしていませんよね。*5

ここを実写映画化するにあたりどうするんだろう、と思っていました。

私にとって野木亜紀子先生はそこんところめちゃくちゃ信用できる大人です。もうずっと。あなたの作品を見て大人が大切にすべき倫理観を学んだといっても過言ではないです。アンナチュラルを多感な時期にみたので。*6

聡実くんは未成年だし狂児は反社、そのままの設定ではいかない、!さあどうする!?(誰)とどきどきしていました。

私が見て映画をみて行きついた答えは家族愛・兄弟愛に近い愛情が二人の間にはあるなということです。

合唱部の顧問から金賞のためには「愛」を込める必要があるんだ!という話をされてから、聡実くんは「愛する」の定義について悶々と考えていました。その後、食卓で鮭の皮を夫にあげる自分の母親の姿をみて、「これが愛か、、」みたいな表情をしていて、「愛する」とは「誰かに自分のものを与えること」と聡実くん的には一旦定義づけたのだと思いました。

それと同時に私は「この作品における愛はこっちか。」と思いました。スローモーションで象徴的に映ってたし。「この映画での二人の愛はこちらですよ」と言われているような感じ。長年連れ添った夫婦でお互いが当然に認識している愛というか、恋愛的なものより家族に近い愛かな?と。

狂児が地獄に堕ちたと聞いた聡実くんが「(狂児が散々歌うから覚えてしまった)紅」を全力で歌い上げたのを見て静かに涙を流しました私です。もともと聡実くんはソプラノパートだから高い声だったと思うのですが、ここで完全に声がガラガラになって変声期終了。天使の歌声を出なくなってしまいました。これは狂児に自分のソプラノボイスをささげたと解釈していいと思うんだよね~。それはめちゃくちゃ愛じゃんね。聡実くんが自分の力でたどり着いた愛だ。それを見つめる狂児の表情!!良いシーンになったなあ泣

「紅」を歌い上げるシーンはもちろん原作では音はないし、何ならモノローグベースだから映画でも歌い上げることはしないのかなあと思っていました。だって難しすぎるよ!私が齋藤潤くんなら「できないです〜😭もう無理です〜〜😭」って走って逃げてた。向き合っていてほんとにすごい。という気持ちもあって泣きました。すごいものを見た感じがする。あのためにもう一回劇場に行く価値がある。

二人の間の関係性について全然うまく言語化できないのは私の語彙力のせいもあるのですが、作中で聡実くんが部員と揉めているところを狂児に見られたときに「三角関係とか思ってんねやろ」と怒っているのをみて、なんか愚かだな自分、、と思ったのが大きいです。

あるふたりの関係性や絆や愛を既存の枠に当てはめて名前を付けたがるのは、なんか、どう?と思って、、

狂児はしっかり「聡実」の墨を入れていたので、もしかしたら私が感じたのとはまた別ベクトルの愛情も抱いてるかもしれないし、まあそこは見る人それぞれに委ねてくれたんだと思うことにしました。エンタメって全体的にそういうもんよね。製作陣としては一つ答えがあるかもしれないけど、行間の解釈は見た人それぞれだし。

3.その他(まとまらない)

以下、カテゴライズする技量がなく宙ぶらりんな感想・シンプルな叫びです。

・前奏42秒が始まった途端ドアのほうに目線をやる聡実くん(逃げ出せ!)

・狂児の右腕に絡みつく聡実くんうわーーーー!!

チャンス大城がいる(ニチャ笑い)(うれしい)しかも優しくてなんか可愛い😊*7

・狂児の腕時計、、(にしか目がいかない私)

・聡実くんが狂児の音域に合わせた曲をリストアップしてきたとき、聡実くんはメモを見ているけど狂児は聡実くんの顔を見つめながら話を聞く。

・どのシーンでも聞こえてくる聡実くんのモノローグ。(映画ではモノローグは一切ないが、原作ファンのみなさまには聞こえていたはず)原作未履修の人からはどんな風に見えてたんだろう。

・サングラスと眼鏡を交換する二人、、

・最近質のいいドラマを見すぎてすべてのシーンが何かのメタファーに思えます。(好きな言葉は後ろメタファーです*8)冒頭、晴天に傘をさして校門前で待ち、聡実が出てきたところを相合傘にしてしまうところは何か意味が込められていると思うのですが、反社側へ聡実くんを引き込むということですか?誰か教えてください。

・「心の瞳」心の中で一緒に歌ってしまった。聞くたびにうちのクラス曲だった気がするんだけど違うんだよね。

・音叉を虎柄にする狂児、原作よりもだいぶ柔らかかったよなあ。綾野剛の狂児はなんか香水の匂いが薄そうというかほぼ無臭そうだよね(私目線)原作の狂児は聡実くんと会うときは煙草の匂いを消してることがわかる程度の煙草と香水の匂いがしそう。

・紅を歌う聡実君を見つめる狂児が一瞬カットインしたけどあれはどういう意図があったんだろう。とても穏やかであたたかい表情をしててめちゃよかったんだけど、生きてたん!?っていうサプライズ性が、、原作未読勢にはどう映ったのでしょうか。

・大人のウソに振り回される聡実くん。

→狂児が話す和子のための「紅」、組長の「狂児は地獄に行った」発言等、大人が適当についた嘘をしっかり信じて振り回される聡実くん、、映画見る部でサンタの話をしていたのはこのことだったんだね。彼は15歳だから、サンタは本当はいないことを知ったのは私と比べると結構最近でしょ。「サンタを信じてプレゼントをお願いする僕はさぞ面白かったでしょ」とでも言いそうな顔をしていて本当に愛しい中3。(面白がってごめんね)でも大人になって思うのは、両親は本当はサンタは存在しないことをわかっていながら、子どもがある年齢になるまでは「サンタは存在する」としてどうにか準備をするってすっごい愛だと思うよ。聡実くんは暖かい両親のいる家庭に育っているし、サンタさんはいる家だったんだ絶対。あの子供部屋のあたたかさとかわいらしさは愛されてる証拠である。(子供部屋探偵)

・元の状態には戻れないもの

→声変わり、デッキが壊れていて巻き戻せないビデオ、取り壊されて無くなる南銀座一体、(入れてしまったら完全に無かったことにはできない刺青もかな?)変化したらもとに戻らない概念がたくさん。声変わりとビデオに関しては、和田くんがそれ(変声期でソプラノがうまく出なくて練習にも本調子で参加できない→ビデオが巻き戻しできないから再生されてる今見ないと次はない)をよくわかっていなくて怒りを露わにするシーン(なんで真面目に歌わないんだと怒る→いつでも巻き戻せるんだからとビデオを巻き戻そうとして破壊)が象徴的で、よくできてるな〜と思った。でも和田くんだっていつでもやり直しが効く(と思ってるだけだけど)映画より、今しかない合唱部での活動(3年生卒業するもんね)を大事にして欲しいし一緒に歌いたいっていう気持ちでいっぱいになってるんだなあと思うと、߹-߹。青いなあ。聡実くんってやっぱり信仰に近い感情を抱かれがちな罪深い子ですよね。(急に)

最後までお読みいただきありがとうございました。自分の新鮮な感想が頭にあるうちに何かしら記録しておかないと、いろんな考察や感想を見ているうちに上書きされて自分の最初の気持ちがいなくなってしまうのでその前に、、残します。今年はそういう一年にします。

*1:逃げ恥のときから生きる糧になっております。アンナチュラルもMIU404も情報解禁されて予告映像を初めて見たあの日からずと亡霊です。某映画めちゃくちゃ楽しみです。アンナチュラルで言うと2話のミケちゃんをずっと抱きしめたいままです。いつかその日が来ますかね。

*2:関係ないけどコメント欄にYOSHIKIいておもろい

*3:『カラオケ行こ!』綾野剛&齋藤潤が明かす、2人の“エモい”関係!「会うたびハグをしていました」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS

*4:「紅」がそもそも難易度が高いだけで他の聡実先生チョイスの歌はうまくて、少なくとも下手くそさで加点されるようなクオリティではないしてか今まで刺青されてないんだから例年通りで全然大丈夫やんけワレというご指摘は今はおいておきます。

*5:マ、ファ。ではなんやかんやなんやかんやあるんですけど、、、

*6:逃げ恥だとゆりちゃん、アンナチュラルはみこと、みゅ〜は桔梗さんが現代で当然のようにまかり通っている考え方に「それはおかしいからね。」と淡々と諭すところがほんとに好き。そのシーンでは全く感情的じゃないところが好き。

*7:映画出演自体水ダウのドッキリだと思ってたらしいですね。このレポ死ぬほど笑いました。あまりに不憫で。

*8:ごめんね青春の「母ちゃんは後ろめたさのメタファーなんだよ、後ろメタファーだよ。」っていうシーンが大好きです。